物件管理について

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸マンションの契約を終えて借主(入居者)が決まった後、賃貸物件の管理全般を行う賃貸住宅に関する専門家です。対して、入居者と賃貸物件のオーナーが賃貸の契約を結ぶ際に仲介を行う不動産会社は宅地建物取引業者(宅建業者)と呼ばれます。このような不動産業者は、以前に比べて契約関係が多様化したことで専門家の知見に基づく判断の必要性・ニーズが高まりオーナーが業者へ委託するという形が一般化してきました。

今回は、こうした不動産管理において必要な基礎的な業務から敷金や更新などの管理上知っておくべき不動産に関する知識を紹介していきます。

目次

不動産管理の実務

不動産管理実務に関する法令

不動産管理の実務

①物件の調査・入居方法

【物件の調査について】
→物件に法的ないか等物件固有の情報から権利関係までを調査・確認しておく必要があります。調査には以下の手順があります。

物件についての権利・構造等を確認:それらが示された登記記録を地方法務局などに請求し、権利関係を調べます
 

ヒアリングと調査:災害や事件などの物故履歴現地の状況を貸主・近隣住民より直接ヒアリングしたり実際に調査します
 

(マンションの一室を借りる等、賃貸物件の場合の確認事項:分譲マンションにおける管理規約の確認
 

物件の付帯設備の確認:借主の募集する前に、照明器具やインターネットなどの設備の状況を確認・調査して修理を行う場合は申し出る

【入居審査について】
→賃貸物件においては、その物件に住むのにふさわしい人物かどうかを判断する審査が必要となります。審査の基準は以下の通りです。

〈審査の基準〉
本人確認(法人の場合は会社の確認)
反社会的勢力ではないか
物件が借主にとって妥当なものであるか
保険会社の確認(保険を利用するとき、入居者の収入や事故履歴を確認)

「最終決定者は、管理受託方式の場合は所有者である貸主、サブリース式の場合は転貸人である管理業者

※サブリースとは??

 

②鍵の管理

【マスターキーについて】
→鍵の紛失は重大なトラブルとなるため管理が重要となります。
非常時に備えて貸主管理業者が保管しているすべての戸を開けられる「親鍵(マスターキー)」といいます。

1.マスターキーの保管
マスターキーは借主が不在の際に非常事態が発生した場合に管理業者などが室内に入ることを目的に使用されます。
そのため、「鍵を管理・保管する責任者を明確にする」「施錠できる場所に保管する」ことが望ましいです。

2.マスターキー貸出しルールの厳格化

管理員や官妓業者の従業員がキーを使用する場合

責任者の許可を得る → 「鍵の管理台帳」の記入(日時・場所・目的・名前・返却)

注意:責任者から許可を得た本人のみが使用可能で、絶対に第三者に貸与してはなりません。
また、複数人の人間で立ち入る必要があります

3.鍵交換

合鍵を作っていた以前の入居者の犯罪防止などの観点から、新たな借主が入居する場合鍵を交換することが望ましいと言われています。
(鍵交換のタイミングについては、入居する借主が決定した後に交換します。)

鍵の交換費用は原則「貸主」負担
ただし、借主による紛失借主が交換を求めた際には「借主」負担

③クレーム処理

【クレーム処理について】
賃貸マンション等では多くの人々が共同生活を営むため、住居ルールに関してトラブルが起こることがしばしばあります。
そこで管理業者の重要な業務の一つが、入居者からのクレーム対応です。

そもそもクレームを引き起こさない賃貸マンションを作るためには…
「入居のしおりの作成・配布」や「掲示板やチラシを使って注意・警告」が挙げられます。

緊急時の対応について

災害や事故・盗難の場合、管理業者は管理員がいる場合といない場合の二種類の対応があります。
漏水や火災など状況によって対応は異なりますが、できるだけすぐに現地に駆けつけることが重要です。

2種類について詳しくは↓
https://www.wisemanage-aptment.com/contents/emergency.html

④住環境の整備

【住環境について】
住環境の設備には常駐している管理員だけでなく、様々な業者が携わりマンションの環境を綺麗・安全に保っています。

植栽の管理

駐車場・ゴミ置き場などの管理

清掃業務
→日常清掃と清掃業者に外注して行う定期清掃、空調や配管などの特別清掃がある

防犯対策
→例:国土交通省と警察庁にて策定されている照度の指針に従う必要

しかし最近では「アウトソーシング」といった、管理業者が外部業者に再委託 するケースが増えてきている。

 アウトソーシングのメリット
・コスト削減
・自社の中心的事業での専門性や付加価値を高めることができる
・警備や清掃、空調設備などを効率よく活用できる

アウトソーシングのデメリット
・情報漏洩のリスク
・自社で基本的な業務の知識や技術が蓄積されない
・クレームの対応がしにくい

⑤その他業務

定期報告
→管理業者は貸主に対して一定の時期に報告する必要があります。
クレームの把握加えて、物件情報の把握から修繕計画や資金や経営のコンサルティングを行うことも管理会社の重要な役割です。

更新手続き
→賃貸借契約の更新において書面の作成は義務ではありませんが、ある場合において「更新の合意書」「更新手数料」に関する業務を行うことがあります。

賃料の微収
→もう一つ管理業で重要な仕事の一つが、借主から貸主に払われる賃料を微収することです。
一般的な賃貸物件の賃料・共益費の微収方法には以下の4つが挙げられます。

賃料の微収の場合

借主による持参

メリット:受領の際に借主の生活状況が把握できたり、管理上の要望を直接聞くことができる
デメリット:事務作業が煩雑隣、金銭管理でトラブルを起こしかねない

貸主への直接振込

メリット:借主が都合良い際に、どの銀行からでも入金できる
デメリット:入金確認に手間がかかる

借主から管理業者への振込

メリット:管理業者が物件別に借主の入金状態を把握・確認できる
デメリット:管理戸数が多くなると、事務作業が増えてしまう

銀行など代行会社の自動振替による管理業者への入金

メリット:確実に入金状況を確認でき、効率的に賃料を微収できる
デメリット:手数料がかかる・代理会社の振込みが遅れたら個別対応など手間がかかる可能性がある

〈共益費の微収の場合〉

管理受託方式
→管理業者が借主から預かった共益費から維持管理費用を支払う方法

サブリース方式
→管理業者が貸主自身として共益費を支払う方法

二つの違いを詳しく↓

https://homeowner.able.co.jp/article/sublease-and-management-consignment/

不動産管理実務に関する法令

【不動産管理実務の法令について】
「借主の権利」として、賃貸物件で生活する借主は契約を長期継続できるよう配慮されており 「借地借家法」という特別な法律で保護されます。不動産の賃貸借では、貸主・借主の権利や義務を守るためいくつかの法令が定められています。

そもそも「賃貸借契約」とは…

→賃貸物件において賃料を支払って借り受ける契約

①貸主、借主の権利と義務

⑴修繕義務
基本的に貸主は、借主が賃貸物件を問題なく使用できる状態になるように修繕する義務があります。
災害等の天変地異による損傷や借主の 入居以前からの欠陥 「貸主」の修繕義務であり、対して被害が大きく修繕不可な場合と 借主の責任 で修繕必要となった場合は「借主」が義務を負います。

⑵修繕費用
基本的には「貸主」が負担しますが、特約で小さな修繕は借主負担とすることも可能です。
ただし、貸主が修繕工事をしようとするとき、借主はその修繕を拒否することはできません

(※借主がこの修繕によって住み続けることができないなどの目的を達成できない場合は賃貸契約を解除することが可能)

⑶費用の負担
賃貸借契約で発生する費用には、以下の2種類があります。

①必要費:本来は借主が修繕すべき箇所を借主が代行した場合・目的物の保存に必要な費用
②有益費:建物の価値が増加する費用(例 改装費用)

例えば、雨漏りによる修繕は ①必要費 に分類されます。必要費は、借主が支出したらすぐに貸主から『全額』返済される必要があります。
対して改装などに使われる ②有益費 は、契約終了時に価値の増加が現存している場合にのみ『支出額又は現存増加額のどちらか』が支払われます。

また、日常の維持管理に必要な 共益費(共用部分の光熱費や清掃費等)は借主が家賃と別に支払う必要があります。

②敷金等について

そもそも敷金とは…

→契約した際から、賃貸物件を貸主に返済する前の間に生じる
「賃料の未払い」や「物件の損傷」によって発生する債務を担保する目的で 
借主から貸主 に支払われるお金のこと

未払い賃料などがあった場合には、貸主が賃貸契約や終了した際にこれらを控除した残額を返済します。
何もない場合には『全額返済』する義務があります。

また、敷金返済請求権(借主が貸主から敷金を返してもらうための権利)では他人に譲渡したり、第三者の債権者(銀行など)が債権回収のために差し押さえすることが認められています。

ー 敷金の継承 ー

借主や貸主が交代する場合には以下の二種類の場合があります。

⑴貸主の交代
貸主が交代する場合には、借主が支払った敷金が新しい貸主にそのまま承継されます。

⑵借主の交代
借主が交代する場合には、敷金は承継されず新しい借主が支払う必要があります。

 

③存続期間・更新等について

契約更新について…

→存続期間が終わった後も賃貸を継続する場合、貸主・借主はお互いに契約を更新することができる。

 

合意更新:更新後の契約内容について互いに合意した上で行う更新(※更新期間の制限なし)
決定更新:自動で契約が更新される場合

 

さらに決定更新の場合以下の二種類に分かれます。
 

A更新拒絶の通知をしない場合:期間満了の一年前から六ヶ月前までに更新拒絶の通知をしなかった場合
B期間終了後に賃貸物件を使用し続けた場合:期間満了後に物件の使用を続けており、貸主が遅滞なく正当事由ある意義を述べない場合

決定更新は、万が一借主・貸主の間で契約内容が合意に至らなかった際に、借主が貸主から立ち退きを求められるという不利益が生じる場合備えて定められています。

しかし、こうした「普通賃貸借」は一度賃貸借契約を締結すると契約を終了されることが難しく賃貸が長期化しがちなことが問題となっていました。

そこで「定期建物賃貸借」という、契約が定期で終了し、更新がない制度が導入されました。

この定期建物賃貸借によって「一年未満の契約」「特約がなくても転勤などの事情による中途解約が可能

まとめ

現在、賃貸物件のうち民営賃貸住宅は約8割に及び、またその中でも8割以上が個人経営となっています。賃貸管理はこうした個人経営者、またその賃貸物件の入居者にとっても必要不可欠であり管理業者との「信頼関係」が大切になってきます。今回は、賃貸マンションのオーナーになる場合や、自身が賃貸物件を借りる際にも知っておくべき管理業について基本的な業務と知識を「賃貸不動産経営管理士の教科書(TAC出版)2023年度版」を基にまとめました。賃貸不動産管理士については業務管理者になることができる資格の一つであり、事務所ごとに1名以上の業務管理者を置かなくてはならないという規定が定められており、年々試験の受験者数は右肩あがりです。賃貸不動産管理士になるためには、試験に合格し登録手続を経ることが必要であり、先述したような管理業務の知識に加えて次回の「法務」に関する知識を学習する必要があります。