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山林投資のメリットは? 購入の方法や注意点、脱炭素化への貢献も解説します

近年、資産運用の一環として山を購入する方が増えており「山林投資」と呼ばれる投資方法になります。少子高齢化の影響で地方では、家屋に空きが多く出たり整備されていない山林や建物があります。無料や格安で市区町村が貸し出しをおこなったり購入できる場所もあります。
この記事では、山林の購入方法や山林投資のメリット、その注意点や山林投資による脱炭素化について紹介します。

山林投資の方法は? 購入の仕方やメリットも解説します

地方の山林を購入するメリットとして、補助金がもらえたり近年流行があるキャンプなどが挙げられます。まずは、山林を購入する方法について以下の3つを紹介します。

森林組合からの紹介
不動産業者の紹介
山林売買専門のウェブサイトで検索
森林組合からの紹介

森林の所有者が、林業に関わる事業を共同で行ったり、森林の保全のために設けている団体が森林組合です。そういった組織のため、山主とのつながりが強く、持て余している山林のことを地元の森林組合に相談している方も多いです。
森林組合では、入手した山林の登記内容の変更など組合ならではのサポートを受けることができます。山林などを購入したことがない初心者であれば、まず初めに組合にアドバイスをもらうのが一番良いでしょう。

不動産業者の紹介
山林は建物や土地などと同様の不動産です。そのため、不動産業者が多くの情報を持っています。自分の目的にあった環境や広さの山林があるか実際に問い合わせてみると良いでしょう。
地元の不動産業者なら、所有者が持て余しているため格安やほぼ無料に近い値段で売られている掘り出し物も見つかることがあります。しかし不動産業者を経由する場合は、仲介手数料を取られる可能性があるため、相場を事前に調査して購入するのが良いでしょう。

山林売買専門のウェブサイトから検索
山林の売買に特化したウェブサイトで購入する方法もあります。
こういったウェブサイトの場合、細かい手続きもサポートしてくれるため、山林購入初心者の方でも安心です。また、どの地域にどんな面積の山林がいくらで販売されているかなどの情報を、現地に行く前に確認することができます。
また、林野庁では山の競売情報が掲載されていることがあります。
参考:林野庁

山林投資を行う方法について紹介しました。次に山林投資におけるメリットについて、紹介します。山林投資を行うメリットは、主に以下の4つが挙げられます。

所有している山林を活用することによるメリット
融資制度・補助金によるメリット
所得税・固定資産税など税制上のメリット
維持管理におけるメリット

所有している山林を活用することによるメリット
所有している山林の立木を伐採し、それを販売することにより収入を得ることができます。2021年のウッドショックによる木材の不足や価格の上昇、バイオマス発電の普及による需要の増加により、以前と比べて木材の価格は上昇傾向にあります。山林投資の基本は育林です。中長期的な視野を持って、適切なメンテナンスを行って質の良い木材を安定的に生産することで、より多くの収入を手に入れることができます。
また、木材だけでなく、山林の適度な湿気や日照量がしいたけや舞茸などのキノコ類の栽培に適していることがあります。原木の利用やパイプハウスを設置した菌床栽培など、キノコ類は初心者でも比較的容易に行えるため、わずかな土地でも安定した収入が得られることで人気です。
育林や造林で利益を出すためには数十年単位の時間がかかり、メンテナンスの手間もあるため、短期間で利益を出したい方や手間を惜しむ方にはこの方法はデメリットに感じるかもしれません。

融資制度・補助金によるメリット
下刈りや間伐、枝打ちや林道整備などの森林整備事業に対して、国や地方自治体から山林の維持管理を目的とする様々な補助金を受けることができます。大抵の森林整備事業は、この補助金の範囲内で行うことができます。
森林整備事業だけでなく、台風や大雨などの自然災害による被害の際に利用できる補助金や支援制度もあります。
他にも、日本政策金融公庫資金から林業向けの低利融資制度を受けることができたり、林野庁から林業・木材産業改善資金として、個人でも最大1500万円の無利子の貸付制度を利用することができます。

参考:​​林業基盤整備資金(造林資金) – 日本政策金融公庫

所得税・固定資産税など税制上のメリット
土地を所有すると固定資産税がかかります。しかし、山林の場合は宅地と比べて土地の評価額が低くなるため安い税金で済みます。また、小規模の山林や保安林の場合、固定資産税がかからないこともあります。
他にも、山林の立木ごとの譲渡や立木の伐採は、林業という事業の性質上、通常の所得税ではなく山林所得という特例が設けられており、森林計画特別控除などを活用することで、税額を抑えることができます。
山林を相続する場合も、住居や土地など一般的な不動産と比べ、相続税が優遇されることがあります。

参考:措置法第30条の2《山林所得に係る森林計画特別控除》関係 – 国税庁

敷地料収入によるメリット
所有している山林内に電力会社の鉄塔、電柱や送電線、携帯電話会社の基地局などが設置されている場合、その数や広さに応じた電柱敷地料収入が得られます。地目によって料金は異なりますが、山林であれば電柱一本につき200〜300円程度支払われます。
また、設置されている鉄塔や電柱、送電線や基地局の周囲にある立木は、ある一定の高さまで成長すると安全のために伐採する必要がありますが、その伐採は電力会社や携帯電話会社が行ってくれるため伐採にかかる費用を負担しなくて済むだけでなく、伐採のたびに補償金の支払いもあります。
また、近くに電柱や鉄塔、送電線がある場合、土地の上空を高圧線が横切っていることがあります。高圧線がある土地は資産価値が低下してしまうことが多いため、線下補償料として補償金を受け取ることができます。地域や高圧線の種類によって金額は異なりますが、1ヶ月あたり数千円程度支払われることが多いです。
参考:九州電力送配電 電柱敷地料関係

山林投資の注意点は?初心者が気を付けるポイントはこちら

山林投資を初めて行う方は気にするべき注意点がいくつかあります。特に気をつけるべき注意点を4つ紹介します。
伐採するときの注意点
売却するときの注意点
不法投棄に関する注意点
自然災害に関する注意点

伐採するときの注意点
森林法で「保安林」に指定されている山林の場合、伐採には都道府県知事の許可などが必要になるため、伐採した木を売買することによる収入を山林投資のメインに考えている場合は、購入前にしっかりと確認しましょう。販売経路を確保することも重要になります。木を販売するためには、運搬する車や販売場所を確保する必要があります。木を伐採して販売するときには、事前に調査をしてから臨むようにしましょう。

売却するときの注意点
株式投資の場合、売却をするときも上場している株式の場合は買い手がすぐに見つかりやすいことが多いです。しかし、山林投資の場合は、近年注目されはじめているとはいえ買い手が見つかるまで時間がかかることが考えられます。

不法投棄に関する注意点
山林投資特有のリスクとして、不法投棄の問題があります。不法投棄は、山林の景観が損なわれるだけでなく、不法投棄によって荒れた山林は、さらなるターゲットになりやすくなります。
また、土地が荒れれば売却の際にマイナス要素になってしまいます。

自然災害に関する注意点
森林資源は、自然災害の影響を直接受けます。山火事が保有している森林で起こると木材が焼失してしまいます。また、台風や大雨、過度な伐採により地盤が緩んでしまい土砂崩れが起こると土地の所有者、管理者、使用者の責任となる場合があります。そのため、メンテナンスを怠ることはできません。

山林投資は脱炭素化でこれから人気に?SDGsとの関係もチェック!

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素に向けた取り組みが行われている中、CO2を吸収してくれる森林を用いた脱炭素化に注目が高まっています。
脱炭素とは、気候変動問題の被害を最小限に止めるため、温室効果ガスの大気への排出量を実質ゼロにすることです。従来よりCO2排出量を減らす脱炭素社会ではなく、排出量実質ゼロを目指したゼロカーボンシティや脱炭素社会への動きも活発です。
日本でも、王子製紙や住友林業などの企業による山林投資も増えていて、CO2排出を相殺するカーボンクレジットの取得を行うことで脱炭素の取り組みを始めたり、国内外で大規模な森林の保護や管理を行うためのファンドの設立による脱炭素への取り組みがなされています。
山林投資によって山林の適切なメンテナンスが行われると、樹齢を重ねてCO2の吸収量が減った木を伐採し、新たな木を育林することで脱炭素を進めることにもつながります。

参考:
持続可能な開発目標(S DGs)に 貢献する森林・林業・木材産業
民間資金を活用した森林づくりの推進に向けた森林等への投資案件に係る評価の仕組みづくりについて
脱炭素化へ向けた長期ビジョン – 住友林業

【まとめ】山林投資の魅力は収益性だけじゃない! 脱炭素で社会貢献も可能

山林投資をすることは誰でも可能であり、今回紹介した方法以外でも金銭的な利益を得ることができます。また国が公表しているSDGsにも則っており、環境を整備するためにも重要な貢献であると言えます。今後も少子高齢化の影響で、地方では空き家や山林を整備する人が少なくなっていくことが予想されます。山林投資を知らなかった人もこの機会に、調べてみるのはいかがでしょうか。この記事を参考に、山林投資に興味を持っていただけると幸いです。

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