シェアオフィスのメリット・デメリットは?そのビジネスモデルを紹介します
昨今、コロナウイルスの影響を受けてリモートワークが促されたことや副業の推進によって、人々の働き方には大きな変化が訪れています。働き方の多様化に伴い、企業側も状況に合わせて様々な対応をしていく必要があるでしょう。その一つに、オフィスの確保があります。多様な働き方に対応していくために、場所を固定しないシェアオフィスやバーチャルオフィスが注目されています。今回は、「シェアオフィス」「バーチャルオフィス」という選択肢について、そのメリット、デメリットとビジネスモデルについて紹介します。
シェアオフィスとは? そのビジネスモデルと大手三社の戦略を紹介
シェアオフィスとは、使用する側が日額や月額の利用料を支払うことで、直接不動産会社との賃貸契約等をすることなく、会社のオフィスを借りることができるサービスのことです。
シェアオフィスの中には、バーチャルオフィスという実際の業務は自宅等のリモートワークで行いつつも、登記上の住所のみを借りるという形態もあります。
本来オフィスを借りる際は、不動産会社だけではなく電気会社やオフィス家具業者等、各設備に精通した業者とのやりとりや契約がそれぞれ必要となります。
そのような手配を一括でシェアオフィスの会社が代行してくれ、更に業務に必要な設備が整った綺麗なオフィスを借りたいと考えた時から数日で借りられるというメリットがあります。
バーチャルオフィスを借りるビジネスモデルとしては、前述のように利用者は決められた定額の利用料を支払う必要があるので、経営する側はこの利用料が収益となります。
このビジネスモデルだけでは、賃貸オフィスと変わらないためバーチャルオフィスの場合はそこに付加価値を加えることで顧客の獲得をしているのです。バーチャルオフィスを借りるためのビジネスモデルには、どのようなサービスがあるのでしょうか。また、大手シェアオフィスの企業の特徴やメリット・デメリットはどこにあるのでしょうか。日本でシェアオフィス事業を展開する会社の中から3つの会社を紹介します。
①リージャス
リージャスは、全国47都市、173拠点をもつ1998年設立の会社です。
今日本で今一番多くのシェアオフィスやコワーキングスペース、バーチャルオフィスの拠点を持っています。リージャスのメンバーは、契約したバーチャルオフィス以外でも、この全国の拠点を利用することができるメリットがあります。契約形態や大きさは様々あり、企業の規模やビジネスモデルによって使い分けが可能である点が、最大の特徴と言えるでしょう。リージャス内のバーチャルオフィスには主に4つのブランドがあります。
1.比較的規模の大きい企業向け「リージャスビジネスセンター」
基本的なオフィススタイルです。ワーキングスペース、ラウンジ、共同会議室があり、常にバイリンガル受付・秘書スタッフが在中しています。
2.もっと手軽に!「オープンオフィス」
受付無人型ですが、上記のリージャスビジネスセンター同様、基本的なオフィスの機能が備わっています。常駐秘書等のサービスが無い分、他のブランドと比較すると比較的リーズナブルな価格設定である点が特徴です。
3.起業家向け「SPACES」
基本的なオフィスの要素は勿論のこと、特徴として広いラウンジと充実したカフェブースがあり、ラウンジには音楽も流れています。自由な新しい働き方を目指す方には最適ですね。
4.高級志向「Signature」
リージャスが誇る最高級ブランドで、オフィスの雰囲気も重厚で高級感があるものになっており、賃料も他のブランドと比較すると高めの設定です。
このように、顧客の様々な要望に合わせて色々なスタイルを選択できる点と、全国どこにいてもリージャスのサービスを享受できる点がビジネスモデルになっています。
②WeWork
2010年に米国で創業し、2018年2月に国内初となる拠点を東京で設立しました。現在は全国に30拠点ほどまで規模を広げています。
特徴は、最もフレキシブルな契約が可能な点と、入居者同士の交流が活発な点です。
バーチャルオフィスを借りる際は、1名から数百名まで、人数単位、月単位で契約が可能です。
コワーキングスペースではなくシェアオフィスとして、1名単位で増減が可能な会社は他にはなく、社員の増減に合わせて次月の契約を変更できますので、例えばこれから人を増やしていきたいスタートアップ企業等には、非常にメリットが大きいでしょう。また入居者が参加できるイベントの開催や、専用のアプリを使用しての交流も他の2つに比べると盛んです。さらにオフィス内の休憩スペースには、コーヒーやお茶だけでなく、なんとビールまでも飲み放題というから驚きです。このような環境下のため、出会った方との会話が弾み、協業に発展することもあるようです。
オフィスのインテリアも非常にお洒落でこだわりを感じる素敵な空間になるため、従業員のモチベーションも上げることができるでしょう。
③SERVCORP
オーストラリア・シドニーに本社を置き、1994年9月に日本で設立しました。現在は国内27拠点を展開しています。バーチャルオフィスの雰囲気としては、カジュアルよりはフォーマルな印象です。このレセプショニストによるサービスが、サービス代行とは思えないほどよく、会社のことをよく理解していることで話題になっています。他の2つでもバイリンガル受付スタッフの常駐はありますが、こちらのサービスは多岐に渡り、電話応対以外にも、データ入力やエクセルの関数やマクロの使用、ピボットテーブルの作成、翻訳等も対応可能です。急な依頼でなければ基本的には事務作業は何でもやるというビジネスモデルであるため、シェアオフィスを利用する企業の人件費削減にも一躍買っているようです。この秘書サービスがあるからSERVCORPに決めたという企業が多く、他のバーチャルオフィスと比較してもデメリットがないのが特徴的です。
ベンチャー企業がシェアオフィスを利用するメリットは?
ベンチャー企業が、バーチャルオフィスを借りた場合のビジネスモデルとメリットについて、4つ紹介します。
1.初期費用が抑えられる
一般的なバーチャルオフィスは、通常の賃貸オフィスよりも初期費用を安く済ませることができるメリットがあります。決められた利用料を支払えば、複合機やデスク、チェア等の業務を始めるうえで必要な設備が既に整った状態で入居でき、毎月の電気代等も支払う必要がないため、まだ資金が潤沢にあるわけではない企業には導入しやすいでしょう。
2.好立地にオフィスを構えることができる
多くのシェアオフィスは各都市の中心となる駅から徒歩数分圏内にあるため、業務を始めたばかりの企業でも、等地にオフィスを持つことができます。
例えば東京であれば丸の内や銀座、大阪では難波や梅田の駅前にある非常に有名なビルの中に入っているところが多いです。
そういった場所にオフィスがあるという事は、会社自体のメリットにもつながるでしょう。
3.オフィス規模の変更が容易
シェアオフィスは小規模なものから1000人規模対応可能なものまで、要望に合わせたもので対応が可能です。業績によって人数の増減があり、オフィスをその都度柔軟に拡大、縮小することができれば余計な経費をかけずに済みます。まずは、少人数から始めるビジネスモデルを構築するのが良いでしょう。
4.煩雑な雑務が不要
賃貸オフィスを借りる際の契約書の取り交わし、水道や電気の契約、清掃業者の手配等から、日々の郵便物の配布等、実際の業務以外にも多くの作業がデメリットとして挙げられます。しかしベンチャー企業には、このような煩雑な作業に時間を割く余裕は無いこともあるでしょう。デメリットである本業以外の作業を削減するのが重要になります。
意外と多い!? ベンチャー企業がシェアオフィスを利用した場合のデメリットは?
ベンチャー企業が、シェアオフィスを利用した場合のビジネスモデルとデメリットについて4つ紹介します。
1.長期利用をすると逆にコストが嵩む可能性がある
初期投資については大幅に削減することが可能ですが、月額の利用料の中には手数料が含まれていることも事実です。サービスが充実したプランや、あまり利用が長期化すると、賃貸オフィスよりもコストがかかってくるデメリットがあります。
長期的な利用を目的とせず、数か月単位でコストを見直し、必要に応じて長期利用ができる賃貸オフィスへの変更検討も必要でしょう。
2.セキュリティに不安がある
多数の方が利用するため、機密情報等を扱うことを主とする業務はデメリットが多いです。
その他、在庫を持つような業務形態(小売業、物流業)にも不向きでしょう。Wi-Fiは専用のものを必ず契約するデスクに書類を置いたままにしない等、情報漏洩には特に気を付ける必要があります。
3.作業スペースが狭い
契約する形態にもよりますが、小さな個室を借りるようなプランだと一人当たりの作業スペースが狭くなることもデメリットに挙げられます。初期投資を抑えたいからと小さい規模にしすぎてしまうと、社員の生産性に影響が出るかもしれません。
4.時には信用度が下がることも
日本人は大きな企業に信頼を置く傾向にあるので、デメリットに働くこともあるかもしれません。シェアオフィスを利用するのはビジネスモデルの一環であると説明する必要があります。
【まとめ】ベンチャー企業がシェアオフィスを利用する場合には費用対効果を要チェック! 怪しく見られたくないなら大手がおすすめ
海外に比べて日本ではシェアオフィスの認知度は高くはありませんが、魅力的な部分がたくさんあります。それぞれのメリットやデメリットを理解して、その企業にあったものを利用していくと良いでしょう。
また、2023年に入って行動規制が大幅に緩和された中で、リモートワーク社員のサボり問題が世界中の企業で問題視されるようになってきました。シェアオフィスの活用にあたっては、短期的な労働生産性や「働きやすさ」に限らず、社員のモチベーション管理やマネジメントの側面からも慎重に検討する必要があると言えるでしょう。
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